高校1年生 SS化学基礎 授業実践紹介:「分子モデルを用いた分子の立体構造」を探究的に学ぶ ー「知識」から「思考」へ、化学の探究をはじめるー

今回授業紹介をする「SS化学基礎」では、単なる知識の習得にとどまらず、分子の立体構造について理論的に考え、主体的に学ぶ力を育むことを目指しています。

授業では、生徒一人ひとりが分子モデル(模型)を用いて、さまざまな分子の立体構造を推測させ、その後、グループで議論し、分子の立体構造を予想・発表する時間を設けました。同じ分子の立体構造の予想に至るまで、各グループの思考プロセスが異なるため、クラス全体で議論が深まったのが印象的でした。

特に、混同しやすい二酸化炭素と二酸化ケイ素の立体構造の違い(分子結晶か共有結合の結晶か)については、分子モデルを実際に作ることで全体の化学式への理解がより深まったようでした。―通り議論を終えた後、「いろいろな解釈の仕方があるなぁ」と気づきを口にするグループもあれば、自分の意見をうまく表現できないグループに対して「ゆっくりと落ち着いて、焦らず考えよう~」と優しく声をかけ合う生徒もいるなど、終始和やかな雰囲気で授業が進みました。

授業後には、生徒から「分子モデルで実際に目に見えない分子を作ってみるのはおもしろかった。」という声も聞かれ、思考を深めながら学ぶ楽しさを実感してくれたようです。

化学はとにかく化学式を暗記する「暗記科目」とみなされることも多いですが、私たちは知識のインプットにとどまらず、それをもとに理論的に考える経験(特に実験を通じた体験)を積み重ねていくことが、本当の意味での学びにつながると考えています。

今後は、さらにたくさんの体験実験を行うことで、生徒自らが「得たい結論」に向けて実験を設計・実践し、PDCAサイクルを回していくような探究型実験授業も取り入れていく予定です。今回の授業は、その大きな第一歩となる良い機会だったと感じています。

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