進路実績

東大での学びとクイズ研究会

利晶学園中学校→利晶学園高等学校→東京大学

東京大学 理科一類

手良脇 大誠さん

東大の授業は入学式前からスタート

入学式の前にいきなり新入生合宿が…。

——手良脇さん、こんにちは。東大に入学してから3か月が過ぎましたね。大学生活はどんな感じですか?

手良脇さん:東大の入学式は4月12日だったんですが、実は授業は 4月5日に始まったんです。そしてさらにその前の4月2日から、1泊2日の「オリエンテーション合宿」がありました。これは新入生がクラス単位で参加するものです。

——東大にはクラスがあるんですね。

手良脇さん:はい。東大では最初の2年間は教養学部に所属して基礎的な学習をします。そして教養学部は理系、文系で6つの「類」に分かれているのですが、その類のなかで30人程度のクラスが編成されるんですよ。

——そのクラスみんなでいきなり合宿ですか…。

手良脇さん:何しろ日本中から学生が集っていて、みんな友だちもいないし大学生活についてもわからないことだらけです。ですから授業が始まる前に、上級生が新入生にいろいろ教えてくれたり、ゲームでクラスのみんなが仲良くなって名前を覚え合ったりできるようにと…そんな合宿なんですね。

——そこで友だちができましたか?

手良脇さん:そうですね。その後クラス単位で受ける授業もありますので、自然と顔や名前を覚えて親しくなっていきました。

東大生はさすがに「志」が高い。

——ずばり、東大生ってどんな人が多いんですか?

手良脇さん:そうですね。ひとことで言うと「志が高い」人が多いですね。東大では2年間教養学部で勉強した後にそれぞれの学部・学科に分かれるのですが、その時に「進振り」(しんぶり)という選考があります。そこでいい成績を取っていないと、希望するところに行けなくなってしまいます。その「進振り」について新入生の間でも話題になることが多いのですが、それぞれどの学部学科に行きたいか、そこで何を学びたいかがはっきりしている人が多いです。

——なるほど。

手良脇さん:それから「他の人にはない」強みを持っている人が多いですね。
「これだけは絶対に負けない」みたいな…。数学がすごくできるとか、天文学に精通しているとか、もちろん僕が学びたい物理学の分野にめちゃくちゃ強い人も何人かいます。たとえば、「TeX(テフ)」という新しいソフトウェアがあって、プログラミングをしたり論文を書いたりする時に使える新しいソフトなんですが、その分野のエキスパートが身近にいます。使いこなせるのはもちろん、自分でどんどんプログラムをいじって改良していけるような…。

——へ~。

手良脇さん:そのソフトを使えればこれからの勉強や研究で非常に役立つと思います。いまそのエキスパートの人を中心に勉強会もスタートしていて、僕も参加しているんですよ。

——なるほど…。では次回は東大の授業についてお話しいただきたいと思います。ありがとうございました。

COLUMN

東大の学部について

東京大学では、4年間のうちの最初の2年間を「前期課程」と呼び、すべての学生が「教養学部」に所属します。ここで幅広い学問分野を学びながら各自が進みたい分野の基礎的な授業を受けます。教養学部は6つの類(文科一・二・三類、理科一・二・三類)に分かれていて、入試もこの類ごとに実施されます(推薦入試を除く)。そして大学3年生からの後期課程では、それぞれの希望する学部に進んで専門教育を受けることになりますが、その学部・学科の決定にあたっては成績による選抜=「進振り」があります。

東大の授業はやっぱりすごい。

1週間に15コマの授業で大忙しの毎日。

——手良脇さん、こんにちは。今回は東大の授業について教えてください。

手良脇さん:1週間に15コマの授業を受けています。土曜日の授業はありませんが、1コマは105分あります。

——大学の授業はどこでも90分だと思っていました。

手良脇さん:一日に6時限まであり、最後の授業が終わるのは夜の8時半です。

——なかなかたいへんですね。

手良脇さん:僕は理科一類ですから、理系の科目を中心に受けています。15のうち文系の科目は「日本国憲法」と「英語」「フランス語」だけで、あとは全部理系の科目です。

——理系の科目にはどんなものがありますか?

手良脇さん:僕は理学部の物理学科を志望しているので、「現代物理学」や「力学」「熱力学」「振動・波動論」といった科目、そして数学系の「微分積分学」「線形代数学」、それから統計学の基礎科目も受講しています。

——東大の授業を受けてみた感想は?

手良脇さん:もちろんレベルはめちゃくちゃ高いですね。それに何より一回の授業の進度が速い。内容も面白くて授業は楽しいのですが、ついていくのがたいへんなので、家でもしっかり復習をしています。

テレビでもおなじみの「クイズ研」のメンバーに!

——とても充実した毎日のようですね。クラブには入りましたか?

手良脇さん:はい。クイズ研究会とルービックキューブ研究会に入っています。クイズはすごい量の知識と「早押し」のテクニックが必要です。答えが「わかりそうだ」というギリギリのタイミングでボタンを押す。その瞬間の判断の差で勝敗が決まるんです。面白いですね。「東大王」というクイズ番組を知っている人は多いと思いますが、先輩にはその常連メンバーがいるんですよ。あと「Quiz Knock(クイズノック)」というクイズのWebサイトがあって、僕はそれを高校の頃から熱心に見ていたんですが、そのサイトを運営している人も「東大クイズ研」の先輩だったりして、もうすごい人ばっかりです。

——なるほど。クラブ活動でも頭脳を鍛えているんですね。ありがとうございました。

COLUMN

東大の学部について

1982年に創立された「東京大学クイズ研究会」は、東大の学生を中心とした学生サークル。東大生チームに芸能人が挑戦するTV番組「東大王」に多数のメンバーが出演していることで知られています。中心メンバーが結成した「Quiz Knock」というグループがWebサイトやYouTubeでクイズ問題を発信しており、超人気コンテンツになっています。また東大クイズ研やQuiz Knockのメンバーが執筆した書籍も多数発売されています。

物理チャレンジの出場メンバーと東大で再会。

「物理チャレンジ」への出場が高校時代の目標。

——手良脇さんは東大で物理を研究したいと考えているんですね。

手良脇さん:はい。僕は高校2年と3年の時に「全国物理コンテスト 物理チャレンジ」に出場しました。「りしょう」の中学から高校に進学した夏頃からこのコンテストに出ることを目標にしていて、高1で高校の数学をすべて学習し終え、高2に進級した4月には高校物理の理論の勉強を済ませていました。

——それは独学で、ですか?

手良脇さん:はい。独学でやりました。もちろん高校の授業もしっかり受けていましたが。

——物理チャレンジに出場するには高校の授業内容を超えたレベルに達していなければならないのですね。

手良脇さん:そうなんです。出題される問題はあくまでも高校の物理の範囲なんですが、問題の内容がぶっ飛んでるというか、ハイレベルな応用力が問われるんですね。ですから高校で学ぶ範囲の物理はすべてマスターした上で、それを応用できる力を磨いておかないといけないんですよ。

精神力も試された?合宿形式の決勝戦。

手良脇さん:物理チャレンジは2段階に分かれていて、予選となる「第一チャレンジ」は理論のペーパーテストと実験課題です。ペーパーテストは会場で行われ、実験課題は自宅でやってレポートを提出します。そこで選ばれた100人が夏休みに集まって、3泊4日の合宿形式で開催されるのが決勝戦である「第二チャレンジ」です。この決勝戦でも、理論のペーパーテストと実験があります。

——ペーパーテストはどんな問題でしたか?

手良脇さん:たとえば「宇宙に散らばったゴミを除去する方法について、複数の方法についてその効果を計算する」といった問題です。

——たしかに「ぶっ飛んで」いますね。

手良脇さん:はい。高校の授業では絶対にやらない内容ですよね。それも「ゴミを宇宙のかなたに飛ばす」「大気圏に突入させて燃やしてしまう」といった方法それぞれについて、物理の理論を応用して計算しなければなりません。

——実験課題はどうやってテストされるのですか?

手良脇さん:予選のときは家で「輪ゴムを伸ばしたときの力と伸びの関係」といった比較的やりやすい問題でしたが、決勝では、いきなりオシロスコープという電気的な振動を計測する機械を一人1台渡されて、それで実験しなさいと…。

——いきなりですか?

手良脇さん:事前に使い方を説明した動画を見せてもらってはいたんですが、実際に使うのは初めてでした。それを使って5時間で3つの課題をこなさなければならなかったんです。しかもダンボールで作った箱みたいな個室に入って…。

——ダンボールの箱?

手良脇さん:はい。隣の人の実験の様子が見えないように、各自にひとつづつ、ダンボールで囲われたスペースが用意されているんです。その箱が、ずらーっと100人ぶん並んでいる。異様な風景ですよね。参加者はそれを「独房」と呼んでいました(笑)。

——その箱に入ったまま5時間、一人で実験に取り組むと…。

手良脇さん:そうなんですよ。これは物理の知識や実験能力だけでなく、精神力も試されてるよな、と思いました(笑)。

——トップレベルの物理学者になるにはメンタルの強さや危機管理能力が必要だ、ということなんですね~。

物理学への情熱を胸にチャレンジは続く。

手良脇さん:そしてその難関を突破した人が「国際物理オリンピック」の日本代表になれるんです。僕は残念ながら選ばれませんでしたが、一緒に参加した喜田輪くんは見事に日本代表の栄冠を手にしています。僕にとっては、日本中から集まった物理の秀才たちと出会えて一緒に難問にチャレンジできたことが素晴らしい経験でした。もちろん東大に入学しようという気持ちもますます強くなりました。

——手良脇さんをそこまで惹きつける物理学の魅力とはなんですか?

手良脇さん:物理学の究極の目標は、世界の事象すべてを数式で記述することです。ニュートンが発見した「目に見える世界」を記述する数式から、いまは「目に見えない宇宙やその起源」について、一つの数式であらわそうと世界中の研究者がチャレンジし続けています。そんな物理学の世界に参加できる…素晴らしいと思いますね。

——その究極の目標にいちばん近いのが、東大の物理学科だということですね。

手良脇さん:はい。これからの教養学部での勉強の結果で進路が決まる「進振り」*で、僕が希望する物理学科に進めるかどうかが決まります。物理チャレンジで出会った参加者のうち何人かとは、東大で再会することができました。彼らは同じ「独房」を経験した仲間であるとともにライバルでもあります。

——なるほど。日本トップレベルの頭脳が集まった東大で、まだまだチャレンジが続くのですね。ありがとうございました。

*「進振り」についてはインタビューの<vol.1>も参照。

COLUMN

全国物理コンテスト 物理チャレンジ

「物理オリンピック日本委員会」が開催するコンテストで、20歳未満で大学に入学する前の青少年を対象とした物理コンテスト。2005年の第1回から毎年開催されています。「理論問題」と「実験課題レポート」が課され、予選である「第1チャレンジ」は全国約70会場で開催。決勝となる「第2チャレンジ」は予選を通過した100名が夏休みに集まる3泊4日の合宿形式で行われます。第2チャレンジでの成績優秀者には、金賞(6名)、銀賞(12名)、銅賞(12名)、優良賞(若干名)などの賞が授与されます。この「物理チャレンジ」は「国際物理オリンピック」に派遣する日本代表選考を兼ねており、成績優秀者からさらに選抜された5名が日本代表として翌年の「国際物理オリンピック」に派遣されます。

東大の定期試験を初体験しました!

範囲も広いしレベルも高い。

——東京大学に入学して半年が過ぎましたね。夏休みはずっと実家に帰省しているのですか?
※取材は2019年8月に行いました。

手良脇さん:はい。7月末に前期の定期試験が終わって実家に戻りました。実はそろそろ東京でアルバイトを始めようかと思っていたのですが、予想以上に定期試験の勉強がたいへんで、アルバイト探しどころではなくなってしまいました。ですから夏休みはずっとこちら(大阪)で過ごしています。

——東大の定期試験はやはり難しいのでしょうね?

手良脇さん:そりゃあもう(笑)。中学や高校の定期試験とは違いますよ。中間と期末に分かれているわけではなく、半年分の内容が一度に試験に出ます。それにもともと授業のレベルが高いですから。

——とくに苦労した科目は?

手良脇さん:文系の試験でしょうか。文系の科目も選択して履修する必要があるのですが、なかでも「日本国憲法」の記述式の問題が難しかったですね。ただ試験にパスして単位をもらえばいいというのではなく、希望する物理学科に進むには全教科の成績の点数が高くなければなりません。ですから文系の科目だからといって気を抜くことができないんですよ。

——なるほど。定員が決まっている希望学科に進むためにはずっと競争が続くのですね。理系の試験は大丈夫だったのですね。

手良脇さん:理系の科目は試験勉強をするモチベーションも高いですから苦になりません。でもやっぱり4月から7月までの内容がすべて試験範囲になりますから、たいへんですよ。

——おつかれさまでしたね。で、定期試験の結果はもうわかったのですか?

手良脇さん:夏休みが終わるまでに発表されます。手応えはけっこうありましたがやっぱりドキドキしますね。

9月からは高度な物理学の授業も。

——9月からは後期の授業が始まるわけですが、授業の内容に変化はありますか?

手良脇さん:そうですね。そもそも僕は物理の勉強はおもに独学でやってきたので、授業で物理学を学ぶスタイルに慣れるのに苦労しました。

——というのは?

手良脇さん:独学だと自分のペースでじっくり理解しながら進んでいけますが、大学の授業は教授のペースで進められます。

——わからないところもどんどん進んでいくのですね。

手良脇さん:はい。しかもそのペースがやたらに早い。

——そのペースが後期の授業ではさらに早くなりそうなのですね。

手良脇さん:そうでしょうね。これからどんどん内容も高度になりますから、ついていくのがたいへんになると思いますよ。

——新しく履修する科目にはどんなものがありますか?

手良脇さん:「量子論」と「相対論」のどちらかの科目を履修しようと思っています。いずれは必ず勉強することになりますが、一度に両方の授業を受けるのはハードルが高そうなので。

——科目名を聞いただけで難しそうですよね。

手良脇さん:はい。教授のペースで進んでいく授業の内容を復習でしっかりフォローできる習慣がつけば、高度な授業もなんとかなるとは思うのですが。

——大きな目標だった東大に入学しても、まだまだ努力の毎日が続くのですね。では次回は、手良脇さんの高校時代の勉強方法などについてうかがいたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

高校1年生の夏から始まった物理の勉強。

——今回は、手良脇さんが物理学を学びたいと考えたきっかけについて教えてください。

手良脇さん:はい。「りしょう」では毎年夏休みに「勉強合宿」があります。3泊4日の日程で、その間は朝から晩まで勉強漬けの毎日なんですが、そこで喜田輪くんが「物理チャレンジ」の勉強をしていたんです。

——手良脇さんといっしょに「全国物理コンテスト 物理チャレンジ」に出場し、3年生の時には日本代表に選ばれて国際大会で銀メダルを手にした喜田さんですね。

手良脇さん:はい。みんなが普通に教科書の内容に沿った勉強をしているなかで、彼だけが見るからにレベルの高い問題に取り組んでいたんです。そこで「それは何?」と聞いたら物理チャレンジに出るのだと…。

——喜田さんは高校一年生ですでに物理チャレンジに出場していましたから…。勉強合宿でも物理チャレンジの問題に取り組んでいたのでしょう。

手良脇さん:そうなんです。まずはそんなすごい人が身近にいるということにびっくりして、それから物理学の内容にも興味をもったんです。

——なるほど。

手良脇さん:そこで僕も物理チャレンジのWebサイトに掲載されていた物理の解説プリントを使って独学で勉強を始めました。

——いきなり一人で勉強をスタートしたと。喜田さんもそうですが、すごいですね。

手良脇さん:僕は中学3年生の時から高校の数学の勉強を始めていました。ですから難しい問題に一人で取り組むことには慣れていましたし、物理を学び始めるにあたって数学の勉強が先行していたことが役立ったと思います。そして高校1年生のうちに高校の数学の内容すべてと物理の基本的な理論の勉強は終わらせました。高校2年生からは僕も物理チャレンジへの出場を目指して高度な物理の勉強に集中していくことにしたんです。

——数学も物理も、東大の入試では重要になる科目ですが、先取りして学んでいたので受験勉強も楽だったのでは?

手良脇さん:そうですね。東大入試の数学や物理でつまずくということは心配しないで済みましたね。

——高校2年と3年と2回連続して「全国物理コンテスト 物理チャレンジ」に出場しながら東大にも合格。「りしょう」で喜田さんと出会ったことは大きな転機になりましたね。

手良脇さん:そうですね。利晶学園の中学から高校に進学する時から東大合格が目標でしたが、喜田くんに出会って物理の世界の面白さを知ったことで東大の理学部物理学科という具体的な目標もできました。また物理チャレンジに出場しながらレベルの高い問題に取り組み続けたことで東大入試の問題も苦労せずにクリアできる実力がつきました。高校で彼と出会えて本当に良かったと思っています。

苦手科目の受験対策に役立った「りしょう」の授業。

——ところで手良脇さんが高校時代に苦手だった科目はありますか?

手良脇さん:国語が苦手でしたね。ほかの文系科目については暗記が得意だったのでなんとかなりましたが、問題の意図を考えて回答する国語の問題は苦手でした。

——どのような対策をしましたか?

手良脇さん:高校の授業がよかったんです。国語科の先生にすごくいい授業をしてくださる方がいて。ただ問題解答の力をつけるだけでなく、自分で考えて答えを導き出すことを徹底的に指導していただきました。

——その先生のことは、喜田さんも言ってましたね。「あの先生の授業のおかげでセンター入試で高得点が取れた」と。

手良脇さん:そういう人は「りしょう」から理系で大学進学した人には多いのではないでしょうか。

——なるほど。そういった文系科目も含めて、「東大に合格できるぞ」という手応えを感じたのはいつ頃ですか?

手良脇さん:高校3年生の秋の模擬試験で「A判定」が出たときはうれしかったですね。僕の名前も公表されましたし。

——それからはどのように受験勉強を続けましたか?

手良脇さん:入試の当日に実力を出せるよう心がけて生活しましたね。風邪をひかないようにとか。

——健康管理をしっかりしたと。

手良脇さん:はい。食事もしっかり摂るようにして。

——おうちの人も協力してくださったのですね。

手良脇さん:母が栄養面なども気遣ってごはんを作ってくれました。とても感謝しています。

——そして見事に東大に合格。うれしかったでしょうね。

手良脇さん:思い返すと、同じように物理を学びたいと東大をめざす友人が「りしょう」にいたことが大きな励みになったと思います。それが物理チャレンジで優秀な成績をおさめて国際大会出場も果たした喜田くんだったのですが、いつも目の前に目標にできる人がいたことが僕にとって前に進み続ける力になったのだと思います。

——なるほど。喜田さんのような友人や、苦手科目を克服させてくれた先生など、出会いに恵まれた高校時代だったのですね。これから手良脇さんは大学3年生以降の学部学科を決める「進振り」*という選考に向けてますます勉強に力を入れていくと思います。大学受験の時と同様に、健康にも気を配りながらがんばってくださいね。

手良脇さん:はい。ありがとうございます。
*「進振り」についてはvol.1「東大の授業は入学式前からスタート!」を参照してください。

東大クイズ研の活動 その後。

——さて手良脇さんが東大に入学して半年が過ぎました。前期の試験も無事終わったわけですが、勉強以外の学生生活について聞かせてください。
*取材をしたのは2019年8月

手良脇さん:前にもお話ししたとおり、僕は東大のクイズ研究会に入っています。その活動に週に2回参加しています。

——クイズ研の活動ってどんなことをするんですか?

手良脇さん:部室に行ってクイズをするんです。

——クイズをするって?

手良脇さん:対戦するんですよ。将棋部の人が将棋をするように。

——一対一ですか?

手良脇さん:たくさん部員がいますから、問題を読む人がいて、それに複数の部員が「早押しボタン」を使って回答するんですよ。

——本格的ですね。クイズ用のボタンまであるんですね。

手良脇さん:クイズは知識だけでなくボタンを押すスピードやタイミングも大切ですから、しっかり訓練しないと(笑)。

——さすがテレビのクイズ番組でも常連になっている東大のクイズ研ですね~。

手良脇さん:はい。テレビで顔を見た覚えのある人を部室で見かけることもありますよ(笑)。ところで僕は大学からクイズを本格的に始めたんですが、高校からやってる人はやっぱりすごいですね。クイズには「ベタ問」と呼ばれる問題があって、それは過去に何度もクイズ番組などで出題されたことがあり、クイズ通ならば問題の出だしを聞いただけでボタンを押さなければならない問題です。そうしたベタ問をたくさん知っているのはやっぱり高校からクイズをやっている人たちです。

——どうやってクイズのスキルを高めるんですか?

手良脇さん:ひたすら問題集を読むんです。もちろん部室で実際に対戦することも大切です。クイズの世界では、「クイズに強くなりたければ、あらゆる領域でそれぞれのマニアの人にとっての常識であるレベルの知識を知らなければならない」といわれています。

——自動車マニアにとっては常識レベルである自動車の知識、鉄道マニアにとっては常識レベルである鉄道の知識、といった感じですね。

手良脇さん:はい。僕は暗記が好きだし、知識がどんどん増えていくのが楽しいのでクイズをこれからも続けていこうと思っています。

東大クイズ研の「新人戦」で8位に。

手良脇さん:ところで先日、東大クイズ研の新入生45人くらいで「新人戦」があったんです。

——高校からクイズをやってきたツワモノもいる中での新人戦ですね。結果はいかがでしたか?

手良脇さん:思ったより良くて、僕は大学からクイズを始めた人たちのグループで8位になりました。

——すごいですね。これからどんどん順位を上げていくのでしょうね。楽しみにしています。ところで、このインタビューのvol.1の時に、TeX(テフ)というソフトウェアの勉強会にも参加しているというお話しでしたが、その後はいかがですか?

手良脇さん:その後「パイソン」という比較的新しいプログラム言語に興味を持つようになりました。これは従来のプログラミング言語よりもシンプルで、コンピュータの初心者でもとっつきやすい、でもけっこう将来性もあってAIの開発にも使われているそうです。

——その新しいプログラミング言語を勉強しているのですね。またまた独学ですか?

手良脇さん:はい。7月に現代物理学のレポートを書くことがあり、そこでさっそくパイソンを使いました。物理学のレポートでは必ずシミュレーションなどの作業があり、プログラミングができると便利なんですよ。

——4月に入学して最初はTeX(テフ)というソフトウェアを勉強してからパイソンを独学で始め、7月の物理のレポートで活用したのですね。すごいな~。手良脇さんは高校からパソコンを使っていたのですか?

手良脇さん:いえ。大学に入ってからです。大学でも「情報」の授業はありますが、ほとんど独学で進めています。もうあまりキーボードを見ないでも入力できるようになりましたよ(笑)。

——自分が興味を持った分野にどんどん独学でチャレンジする手良脇さんは本当にたくましいですね。この一年間、いろいろなお話を聞かせていただきありがとうございました。今後のご活躍を期待しています。どうもありがとうございました。

※ここに掲載された文章は、本人への取材をもとに利晶学園高校が作成しています。
※すべての文章、内容の責任は利晶学園高校にあります。

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