【RSSクラスSS生物基礎の授業紹介】旧式のツールを最新の学びに活用!ミクロメーターの計算特訓
【利晶学園大阪立命館高校 RSSコースとは?】
本校は2024年度に文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(以下、SSH)の文理融合基礎枠に指定されたことを受け、2025年度からは、立命館コース(理系)の中でもSSH活動を積極的に行うRSSクラスが新設されました。RSSクラスの高校1年生に対して、本校は生物基礎・物理基礎・化学基礎の3科目に関して、他クラスと異なりSS生物基礎・SS物理基礎・SS化学基礎という特別な授業を展開しています。
【授業紹介:旧式のツールを最新の学びに活用!ミクロメーターの計算特訓】
今回ご紹介するのは、高校1年生が本格的な顕微鏡観察実験を行う前に実施された、準備のための重要な授業です。
ミクロメーター(接眼・対物)を用いた生物の大きさの測定は、顕微鏡実験において不可欠な基本操作ですが、顕微鏡内に設置するミクロメーターは非常に小さく、生徒一人ひとりが顕微鏡を覗きながら、教員が教室全体に計算方法を指導するのは困難が伴います。生徒と教員が別々の視野を見ることになるため、説明が上手く伝わりません。
この課題を解決するため、本授業ではOHP(オーバーヘッドプロジェクター)フィルムという、現在ではあまり使われない投影機器(現在はパワポでプレゼン資料をつくりプロジェクターで投影するのが主流)を工夫して活用しました。
- 大画面での再現: OHPフィルムで手のひらサイズの接眼ミクロメーターと、それに対応する縮尺のゾウリムシなどの観察対象を描いた授業プリントを用意。
- 全員で共有: 顕微鏡をのぞきながらではなく、教室の机上のプリント上でミクロメーターの使用体験を行えるため、教員も生徒の理解状況に気付きやすく、生徒自身も不明点があれば教員や周りのクラスメイトに助けてもらいやすい。
- 計算のコツ指導: これにより、ミクロメーターのメモリの読み方や計算のコツなどを集中的に、かつ正確に指導することが可能となりました。
この教室でのOHPフィルムのミクロメーターを使った計算方法の事前指導のおかげで、生徒たちは顕微鏡実験の本番に臨んだ際、計算方法に迷うことなく、安全かつ円滑に実験を進め、測定結果から細胞の正確な大きさを導き出すという深い理解を伴った活動を行うことができました。
本校のSS科目では、最新の技術だけでなく、工夫次第で学びを深められる手段を積極的に取り入れます。今回の授業は、「事前に正確な理論を学ぶことが、成功体験としての実験につながる」という理系科目における重要な姿勢を、生徒たちに伝える良い機会となりました。
またOHPフィルムをつかって手のひらサイズのミクロメーターのアイデアを札幌市立旭川高等学校の大畑真人先生から教えていただき、授業プリントなどの作成にもご協力をいただきました。ありがとうございました。
これからも本校は他校の先生とも時には協力しながら、より良い生物の授業方法を開発していきます。