立命館コースでは、生徒たちの知的好奇心を刺激し、より高度な学びへと誘うため、立命館大学の若手研究者を招き、最先端の研究に触れる「RARA RICEBALL SEMINAR」を実施しています。
大学院生という、生徒たちにとって少し先を歩む「先輩」たちの真摯な姿と、社会をより良くしようとする情熱的な研究内容。その一部を、ご紹介いたします。
最初のセッションでは、情報技術を駆使した「スマート・スペース(賢い空間)」の研究が紹介されました。センサーやロボット、そして生成AIを融合させ、空間そのものがそこにいる人の状況を察知し、さりげなくサポートする仕組みです。
スライドに映し出されるロボットの挙動や、AIが人の意図を読み取るプロセスに、生徒たちの視線は釘付けになりました。単なる技術解説に留まらず、「技術がどのように人の孤独を癒やし、安全を守るのか」という研究の本質的な問いかけに、多くの生徒が深い感銘を受けていました。
「技術の進歩に驚いた」「ロボットが身近な存在になる未来を実感できた」といった感想からは、未来の社会を自分事として捉え始めた様子が伺えます。
続くセッションのテーマは、一転して「余暇(レジャー)」という、私たちの日常に深く根ざした概念でした。
「自由な時間は、なぜ何か『役に立つこと』に使わなければならないと感じてしまうのか」。この身近な、しかし鋭い問いに、会場内には静かな衝撃が走りました。効率性や生産性が重視される現代社会において、私たちが無意識に抱いている価値観を、社会学的な視点から紐解いていくプロセスは、生徒たちにとって非常に新鮮な体験となりました。
会場では、テーマに関連する書籍を手に取り、思索を深める生徒の姿も見られました。
「当たり前だと思っていた"自由時間"の捉え方が変わった」という声もあり、既存の枠組みを疑い、再構築するという「学問の醍醐味」を肌で感じたようです。
今回のセミナーを通じて生徒たちが得たものは、知識だけではありません。理系・文系という枠を超え、それぞれの専門領域から「より良い社会」を目指す研究の多様性に触れたことは、大きな収穫となりました。
大学院生によるリアルな学生生活や、研究に行き詰まった際のエピソードなどは、進路選択を控えた生徒たちにとって、等身大のモデルケースとして強く響いたようです。「大学で学ぶ意味」や「研究という仕事」の輪郭が、より鮮明になったのではないでしょうか。