インフォメーション

NEWS 一覧

財務大臣として未来を構想する:中学3年生「租税教室」

本プログラムは、地元和歌山県の粉河税務署と財務局による共同企画として実施された特別な授業です。本校生徒の学びを視察するため、東京の財務省本省や大阪の財務局からも担当官が来校されるなど、教室には心地よい緊張感と、社会の第一線とつながる高揚感が漂っていました。

 

社会の仕組みを俯瞰する:国際比較から学ぶ税の意義

授業の冒頭では、税の種類や消費税が歩んできた歴史についてのミニ講義が行われました。

単に国内の知識に留まるのではなく、諸外国の税率や福祉制度の特徴を比較することで、生徒たちは「なぜ国によって税の仕組みが異なるのか」という本質的な問いに向き合います。日本と世界の現状をデータで対比させるプロセスを通じ、生徒たちの視座は教室の外、そして世界へと広がっていきました。

IMG_0272_R.JPG IMG_1041_R.JPG

思考のシミュレーション:Excelを駆使した国家予算の編成

講義に続き、生徒たちはグループごとに分かれ、一人一台のタブレット端末を使用してワークショップに取り組みました。

テーマは「どのような社会を実現したいか」。

 

生徒一人ひとりが「財務大臣」の視点に立ち、Excelを用いたシミュレーションソフトを操作します。社会保障、教育、公共事業といった「歳出」と、それを支える「歳入」のバランスをどう取るべきか。

「少子高齢化を食い止めるために子育て支援を厚くしたいが、その財源をどこから捻出するか」

「防衛やインフラ整備との優先順位をどう考えるか」

 

グループ内では、正解のない問いに対して活発な議論が交わされました。タブレット上の数値が変動するたびに、国家運営の難しさと責任の重さを肌で感じている様子が印象的でした。

IMG_5527_R.JPG IMG_0282_R.JPG
IMG_5520_R.JPG IMG_5524_R.JPG
IMG_5529_R.JPG IMG_5523_R.JPG

意思決定と発信:論理的な根拠に基づく政策発表

授業の締めくくりには、各グループが編成した予算案とその背景にある政策意図について発表を行いました。

「私たちは若者が希望を持てる社会を目指し、教育への投資を最優先しました」

「現状の維持ではなく、未来への投資のためにあえて増税を選択しました」

 

それぞれのグループが掲げる理想の社会像と、それを実現するための具体的な予算配分。そこには、単なる数字の羅列ではない、生徒たちなりの確かな「意志」が込められていました。

IMG_0290_R.JPG IMG_0293_R.JPG
IMG_5531_R.JPG IMG_5536_R.JPG

学びの深化:教科書から「自分事」の社会へ

中学3年生は、公民の授業ですでに税金や選挙についての基礎知識を修得しています。しかし、今回の租税教室はその知識が「生きた知恵」へと変わる貴重な機会となりました。これまで教科書の中の出来事であった「税」や「政治」が、自分たちの生活や将来に直結する仕組みであることを、シミュレーションを通じて再確認したようです。

 

視察に訪れた財務省・税務署の方々からは、最後にこのような言葉をいただきました。

 

「政治や経済を他人事ではなく、自分事として捉えてほしい」

 

国家の予算を考えることは、自分たちがどのような未来を生きたいかを考えることと同義です。本日の経験を経て、生徒たちがより広い視野を持ち、主体的に社会に参画する一市民へと成長していくことを期待しています。

 

IMG_5534_R.JPG IMG_5545_R.JPG

 



トップへもどる