卒業生の紹介
大浦 琢巨さん

利晶小で見つけたわたしだけの未来

2008年度にはつしば学園小学校(現:利晶学園小学校)を卒業後、
灘中学校・高等学校を経て京都大学医学部へと進学。
現在は日本赤十字社 大津赤十字病院の脳神経内科にて、専攻医として勤務している。
脳神経内科の専攻医として活躍する、大浦琢巨さん。
小学校時代に、手塚治虫の漫画「ブラックジャック」と出会ったことが
医師を目指すきっかけになったと語ります。
大浦さんの心に響いたのは、診断が難しく、治療が困難な状況でも
希望を見出そうとする主人公の姿勢でした。
まだまだ未知の領域が多い脳神経の世界への好奇心と挑戦心は、
どのように育まれたのでしょうか。
「読書感想会」での出会いで、医師の道へ

医師になるという私の夢のスタート地点は、小学生の時に読んだ手塚治虫の漫画「ブラックジャック」でした。夢への道しるべを与えてくれたその手塚治虫と初めて出会ったのは、在校時に参加した「読書感想会」でのこと。近隣の私立小学校が合同で開催していたこのイベントで、手塚治虫のエッセイ「ガラスの地球を救え」を題材に話し合う機会があったのです。
参加者たちと感想を語り合う中で、手塚作品をもっと読んでみたいと思うように。たくさんの作品を読み漁りましたが、特に「ブラックジャック」の世界観に引き込まれ、何度も繰り返し読んだことを覚えています。人間の身体についての詳細な記述には興味を掻き立てられましたし、何より魅力的だったのはどんなに困難な状況にあろうとも、希望を見出そうとする主人公の姿です。この出会いをきっかけに、医師に憧れを抱くようになりました。
未知へと飛び込む喜びを教えてくれた修学旅行

はつ小で過ごした日々は、自身の興味や個性を伸ばしてくれる機会にあふれた6年間でした。その中でも特に印象に残っているのが、修学旅行で訪れた福島県にある「ブリティッシュヒルズ」という語学研修施設での体験です。外国人の先生方と英語でコミュニケーションをとりながらスコーン作りを教わったり、英語を使ったアクティビティに参加したり。異文化に触れる楽しさを体全体で体感できたのです。
この経験が、未知の世界に飛び込むことの面白さを私に教えてくれました。高校・大学時代の海外留学への挑戦をはじめとし、様々な文化に対する興味を持てるようになったのは、はつ小での出会いのおかげです。
興味を持ったのは、国外の異文化に対してだけではありません。小学校で体験した茶道をきっかけに、日本文化についても惹かれるようになりました。中学生から個人的に茶道を習い始め、現在も続けています。さらに伝統文化への好奇心は膨らみ、高校では雅楽や能楽といった伝統芸能にも挑戦。大学では能楽サークルに所属するほど、のめりこみました。異文化への興味から日本文化にも興味を持つようになり、その造詣を深めることができたことは、自分にとって大きな財産になっていると感じています。
未解明の領域だからこそ、挑戦したい

現在私は、脳神経内科の専攻医として患者さんと向き合っています。まだまだ解明されていないことが多いこの分野。診断を行う際には、あらゆる面において「洞察力」が欠かせません。患者さんの症状や検査結果を手掛かりに病気の原因を突き止める過程は、小学生時代から憧れ続けた「ブラックジャック」と重なる部分があります。これまで原因不明とされていた症状を、自分が行った検査で特定することができ、それが患者さんの役に立ったと実感する時の喜びは何物にも代えがたいです。
今の自分を形作っているのは、はつ小での経験や学びが広げてくれた興味や関心のおかげで出会えたものばかり。ここで育まれた「未知へと挑戦するスピリット」は、これからも私の人生の大切な原動力になることでしょう。恵まれた環境で小学校時代を過ごせたことに、心から感謝しています。
※校名等はすべて取材時の情報となります。